TPチャート作成WSによくあるQ&A

過去に開催されたTPチャート作成ワークショップにおいて、Sli.doというオンラインの質問システムを用いて参加者の質問に対し、吉田が応じた回答を整理したものです。校内研修あるいは自分でTPチャートをつくるときに疑問に思うことにお役立てください。今後も適宜追加していきます。

東京大学 栗田佳代子・吉田 塁

更新履歴 2018.09.16(作成)

【TP作成WS関連】

Q (この質問実施時の研修は「作成のみ」で時間も短いものでした)本格的なワークショップの開催予定はありますか?

A 年に4回ほど、東京大学にて実施しております。asagaoメーリングリスト、tulipメーリングリストに情報が流れます。また、facebook グループがありますので、そちらをご確認いただければ情報の確認ができます。 https://www.facebook.com/groups/TP2007/

Q 今回(この質問がでた研修では「作成のみ」でした)は2時間15分で時間が少ないとのことですが、本来、この活動はどれくらい時間をかけることを想定していますか?

A 見直しの時間も含めて、4時間を想定しますが、振り返りの意義を知っていただくという点では、短い時間でも意義はあるかと思っております。

Q 校種が違うペアにした理由はなんですか。

A 同じ背景を持った方だと、阿吽でわかってしまうところがありますが、そうでない方同士のほうが、前提条件も含めて話すため、当たり前のようにやっていることについても気付くことができ、振り返りが深まる場合が多いためです。

これはかならず2人1組でやるものですか? 3人でもできますか?

A 3人で実施すると時間がかかってしまうためペアワークにしましたが、3人でも実施可能です。

Q それぞれの項目に取り組む時間をもう少しとれませんか。

A 1人で取り組むと行き詰まりやすいため、個人ワークは短めに、ペアでのワークに時間をかける予定です。

Q ppt資料はダウンロードできますか?

A 各所での研修資料は、同様の資料が次のウェブサイトにアップロードされているため、そちらをご参照いただければ幸いです。 https://kayokokurita.info/post-319.html

Q pdf資料をダウンロードして利用する際、著作権上の留意点(出典の明示、改変の禁止等)にはどのようなものがありますか?

A 出典の明記、改変の禁止でお願いしたく存じます。下記のサイト「お願い」のところに十分ではないですが利用について記述がございますので、そちらをご参照ください https://goo.gl/KjVbby

【TPの用語】

Q 教育業績評価とは、教員の業績評価ということですか?

A はい、教員の教育業績評価ということです。欧米では、就職時、昇進時などに評価資料として添付することがあります。ここで、TP は業績評価資料という側面だけでなく、教育の振り返り・改善にもつながることは念のため再度お伝えしておきます。

Q ルーブリックとは何ですか?

A ルーブリックとは、レポートやプレゼンテーションなどの評価しにくいものを評価するためのツールで、評価の観点と基準が記載されている表です。具体例は、以下のページなどにあります。https://www.tfu.ac.jp/fd/info/pdf/rubric.pdf

例えば、レポートのルーブリックであれば、「構成」「論理」といった評価観点と、どのような「構成」「論理」が良いのか、普通なのか、悪いのかが具体的に記述された基準が載った表です。

【TPチャート作成について】

Q 自分を振り返るのがとても苦手です。どうしたらうまくなりますか?

A TPチャートのように、具体的な行動を挙げて「なぜそれを行っているのか?」と、具体的なものから抽象的なものを見出すのはおすすめですし、他者との対話を通して見出してもらうという方法も有効です(そういった意味で今回簡単ですがペアワークを入れています)。

Q 私は自身が授業をするだけでなく、授業や学校の教育全体をマネジメントする仕事もしています。TPにはこのマネジメントの部分に関しても振り返り記述をしてもよいのでしょうか?

A 教育実践とマネジメントを同時並行的に振り返るのは難しいことが多いです。今回の振り返りの対象を最初に授業実践かマネジメントを絞り、マネジメントについて振り返るのであれば、それに関係する活動を中心に振り返りをしていただくと良いと思います。

Q 付箋一枚にひと項目だけでしょうか?

A はい、一枚にひと項目でお願いします。

Q シートにとりくむ順は今やっている順ですか?

A お手元の発表資料にある通りの順番で実施しております。TPチャートに矢印が記載されている部分がありますが、基本的にはその流れに沿って実施しております。

Q 専門とは、教科になりますか? 生徒指導などでも良いのですか?

A 専門は基本的に教科を想定しています。もし、生徒指導について主に振り返りをされたいということであれば、生徒指導としていただいてもかまいません。

Q 小学校であれば専門は全教科になりますか? それとも力を入れているものになりますか?

A 基本的に全教科となってしまいますが、今回特に振り返りたいもの(特に力を入れているもの)を記載していただいてもかまいません。

Q 作成の目的はひとつだけですか?

A いくつでも結構です。

Q 1年以内なら前年度の活動も入れたほうがよいですか。それとも今年度のものだけでしょうか。

A 前年度のものも入れていただければ幸いです。また、特に重要な教育活動であれば、さらに過去のものを取り入れていただいてもかまいません。

Q 目的から内容まで自由度が高すぎる気がします。テーマなどを絞って行うこともできるのでしょうか?

A 振り返る対象が広いということでしょうか。今回は、総括的な教育活動の振り返りを目的としているため、教育活動全般を扱っておりますが、振り返る対象を絞った実施も可能です。

Q 理念と方針が似通っていてもよいのでしょうか。

A 方針を用いている理由が理念となるため、似通っている場合は、理念に書かれていることが方針か、方針に書かれていることが理念である可能性が高いです。理念に対して「なぜこの理念が大事?」と自問自答して、答えがでてこなければ理念である可能性が高いです。

例えば、生物の先生で理念に「基礎の定着」とあった場合、「なぜ?」と自問自答し、「生物の面白さを知るためには基礎の定着が必要だから」という答えが出てくれば、「生物の面白さを知る」という方が上位概念になるため、こちらが理念となります。

方針と理念の違いについては、今回実施できない「TPチャートの見直し」で扱うのですが、資料がございますので、そちらもご参考にしていただければ幸いです。

Q 方法の検討はできると思うのですが、理念は難しいのではないでしょうか

A 例えば、方法には現れているけれども理念に紐付けられていないものがあった場合、新たに理念が見出される可能性があります。そういった意味では、理念、方針、方法の対応について対話することにより、理念が深まったり見出されたりすることがあります。

Q 方法のグループに対して理念は一つですか?

A 複数の理念を実現する方法はあるため、1つでなくてもかまいません。

Q なぜりんごの形の付箋なのですか?(^^

A 黄・青のふせんを用いて記述する内容は、主に、公開してもそこまで問題ない公なもの(パブリックなもの)になりますが、個人エピソードは完全にプライベートなものになるため、明確に形を変えています。「りんご」と決めたのはフィーリングです。「和む」とのコメントをいただくこともあります。

Q エピソードは教員になってからのことでもいいのですか?

A それでよいです。理念をかたちづくるきっかけとなったできごと、出会いなどを思い出していただければ結構です。

Q エビデンスのない自身の方針や理念は、実際のTPにおいては淘汰されるのですか?

A 方針や理念にはエビデンスはつけず、方針や責任につけます。また、エビデンスがないから淘汰されるということは全くございません。エビデンスを考えるのは「自身の教育活動の根拠資料を収集する」という観点を持っていただくものです。

Q 振り返りで新たに取り組みたいと思ったものは青を使うのですか?

A はい、そのとおりです。青は将来やりたいことを記述していただければ幸いです。

Q 自身の理念を掘り下げる時はしゃべることで書くより効果があったりするのですか?

A 書く方が掘り下げられる場合もありますが、話すことで掘り下げられる場合もあります。両者、相互に補完する関係とお考えいただければ幸いです。

Q 理念と方針の定義はありますか?

A 現在、研修では明確な定義を用いて説明していません。仰る通り両者の定義がある方が理解が進むため、今後は定義を提供していきたいと思います。基本的には、理念は、教育に対する基本的で根源的な考え方であり、方針は、理念を実現するための指針、と捉えていただければ幸いです。

Q 理念と方針に上手く分類できず、その中間に落ち着くようなものが出てきてしまいました。

A方針の中にも上位方針、下位方針などが出てくる場合もあります。そのため、中間に位置付くふせんがあっても問題ございません。

Q 理念に結び付かず、意味が無いのでこれからはやらないようにしたいが、上から言われていて止められないような方法等はどのようにとらえたら良いでしょうか。

A 可能ならばそれを行う目的を上司の方に聞いて、目的レベルで必要なのかどうかを検討すると生産的かもしれません。難しい場合は、省力化するなどの対応になってしまうかもしれません。

Q 短期目標はどうたてればよいのでしょうか。

A 立てた目標が実際にできたか、できなかったか、評価できるものを設定していただければ幸いです。

Q 目的達成を目指すためには、責任の部分から、目的に絞って書く必要があるのではないかと思いました。振り返りを目指すのであれば、今回のやり方でよいと思いますが、どうでしょうか?

A 教育改善、振り返り、業績の可視化などの目的であれば今回のやり方は合目的かと思っていますが、該当しない作成の目的があったということであれば、目的にしぼったそれ以降の活用の可能性があるかと思います。

【TPチャートの活用】

Q TPチャート作成は、何年目(もしくはどの様な)教員に向いていますか?

A 教育活動を振り返りたい人、自分の理念を見出したい人、今後の活動方針を定めたい人、教育活動を改善する際の観点を見出したい人、自分の教育業績を列挙したい人、自分の活動を後世に残したい人などが向いています。そういった意味では、年数はあまり関係ありません

Q PDCAサイクルなどでも振り返りの話がよく出てきますが、どのようなタイミングで検討の段階を取り入れるべきか知りたいです。また教育工学的な視点としてもADDIEモデルのようなデザインの定義や位置付けはありませんか?興味があるので是非教えてください。

A 振り返りのタイミングは基本的に振り返りたい時で良いですが、学期末、年度末など一区切りつく時期に振り返るのはおすすめです。振り返りのモデルとしては、コルトハーヘン先生の ALACT モデルは有名なので、そちらもご参照いただければと思います。

Q 実際に教育現場のどのような場面で導入されることを期待しますか?イメージでは自己評価シートなどとも重なりますが

A 場面としては、総括的に教育活動を振り返り、どのような理念で教育をしているかを見出し、今後の方向性を見出したいときです。時期としては、学期終わりや年度末など一区切りつく時期に作成するのが良い場合が多いです。

Q 管理職レベルでの研修でこのチャート作りを導入されたことはありますか? 管理職の教育理念との違いにギャップを感じています。

A管理職の方々向けにも実施させていただいたことがあります。管理職としての理念を見出したい場合は、教育活動の部分を管理職としての活動と読みかえていただきました。例として、埼玉県において「骨太のリーダーを育成する高校生のための埼玉版リベラルアーツ事業」の連絡協議会にて2017年度に実施させていただきました。

Q 管理職となるとこのシートの更新が難しく、今の現状が変わってしまった場合はどのような例や方法がありますか?

A 管理職の場合、管理職としての活動を責任のところに挙げていただければ同様のフレームで振り返りできると考えております。そういった意味では新しくチャートを作り直すことになります。

Q 組織文化の変革が必要と感じることが多いです。教員一人一人の貢献意欲の向上を図り、新たな考えやシステムの導入が必要ですが、人事異動や制度的リーダーシップではそれが果たせてない気がします。TPの取り組みにより組織文化の変革に寄与した事例はありますか?

A まだ事例はありませんが、組織での活用も検討中です。例えば、学校の理念が十分共有されていないところで、まずは自身の理念を見出して、その理念と学校の理念のつながりをみつけることで、学校の理念の理解を深めるなどの取り組みが挙げられます。

Q 欧米では評価にも添付しているとのことですが、ポートフォリオを評価に使えると思いますか?今は真面目にやってますが、自分自身を脚色して書けば少し良いカッコできる気もします。生徒にもポートフォリオ作成が始まりますが、大学入試でもおそらく提出するだけで使われず疲労対効果がマイナスになると感じます。少し話題が外れますが。

A エビデンスの添付が、脚色ができないようにする仕掛けになっています。例えば、素晴らしい教育をしているように記述しても、授業評価が低いというエビデンスがあれば、その記述が嘘であることがわかります。

Q TPチャートはアレンジして他に応用することはできますか?例えば他業種の仕事の振り返りや部活指導、キャリア教育、進路指導に生かせるでしょうか?

A 基本的には活用可能だと考えておりますが、キャリア教育など、振り返りに加えて、キャリアに関する情報を獲得しないと検討できないものに関しては、別途プログラムの設計が必要です。

Q 簡易化して、児童に取り組ませることは可能だと思いますか?

A 目的によるかと思います。行動の背後に隠れる理念を見つけるのは適していると思います。例えば、将来の仕事を考えるというような、自分の適性と実際の仕事内容を理解していないと考えられないようなものであると、自身の振り返りだけでは充分でないので、不適切かもしれません。

【Sli.do関連】

Q Sli.doとは何ですか。

A 学習者からの質問をオンラインで受け付けるシステムです(https://www.sli.do/)。教授者が質問(多肢選択、自由記述)をつくり学習者に回答をもとめることもできます。無料でアカウントを作ることができます(拡張機能の利用に関しては有料)。

Q この質問システム(Sli.do)と通常の質疑応答だとどの程度質問数に差がありますか?

A この質問システムを用いてテキストで入力していただくほうが、質問数が多くなる傾向があります。実際に、本学の大人数授業で活用された先生は、想像以上に本質的な質問が得られて、とても充実した授業になったと仰っていました。

Q Sli.doの返事もスマホから見るのですか?

A はい、このような形で、質問に対する回答を記載していく予定です。(Sli.doは通常、質問を受け付けるだけのシステムですが、研修においては質問に対する回答であることがわかるように投稿する形で掲載しています。)

Q このシステムを活用するためには、今回のように研修のファシリテーターと質問回答者という2人一組が理想でしょうか。

A 理想は2人体制ですが、授業で使われた先生は1人で利用して、授業の合間に口頭で回答されていました。参加者からの質問への「いいね」機能もあるため、多くの人が興味を持っている質問に対して優先的に回答できるところが良いところです。

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