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TP/TPチャートQ&A 4 TPチャート作成研修を90分で実施できますか?

TPチャート作成研修を90分で実施できますか?また、実施の際の留意点はなんですか?

実施可能ですが、留意いただきたい点があります。  私達が実施しているTPチャートの作成ワークショップは作成が2時間、見直しが1時間半の合計3時間半です(実際には質疑応答や、研修を行うポイントを伝える時間を含めると4時間)。私達のワークショップには、当たり前のことですが「参加したい」方々が参加するためこの所要時間を承知の上でご参加いただいています。 しかし、たとえば参加者が自分の所属で同様のワークショップを行いたいと考えても、こうした長時間のワークショップの実現は難しい場合が多いでしょう。 したがって、ステップとしては、ときに導入時に短いものからはじめることも必要だと思われます。このときの留意点を下記にまとめます。

(1)本来の実施時間より短縮していることを冒頭に明示する

東京大学で実施してきたワークショップの参加者へのアンケートによれば、これまでワークショップの参加者から「長い」という回答が寄せられることは、比率にして1-2%です。したがって、TPチャート作成に「この2時間は必要である」と受け取られています。逆に短くしてしまうと、チャート作成に対する不満感につながってしまう可能性があります。 そこで「今回のTPチャート作成は、通常行われているものよりも短い時間で行います」という点を明確にしておきましょう。

(2)短縮出来る部分、できない部分

90分に短縮する場合でも、全ての項目について取り組むようにします。短くても全てのプロセスを体験し、理解してもらうことが重要です。また、実際のワークショップでは各項目にかける時間を少しずつ縮めることになりますので、「時間が足りないと思いますが、できるところまでで結構です」という言葉がけを時間を区切るたびに伝えると良いでしょう(これは2時間の場合でも伝えています)。 また、自分の言葉で伝えたり、相手の話を聴くことが、振り返りには大変有効であることから、他者との共有の時間は(短くするのはいたしかたないとしても)省略しないことが望ましいです。 短縮を目的として「予め作ってきてもらう」ことは意欲のある人とない人で事前準備にばらつきが生まれたり、時間をかけすぎて負担感を感じたり、といったことが生じる可能性があるため、おすすめしません。むしろ「時間が足りなかった」と感じた人にその研修終了後に続きを行うことを促すような方針のほうがよいでしょう。 下記1時間半の進行モデルを示します(実施記事はこちら)。大きく削っているのはエビデンスの部分です。目的にもよりますが、授業改善を目的とした振り返りにおいて、エビデンスについて取り組むことは相対的に重要度が高くないので、記述したことをエビデンスで裏づけることの意義を伝えたら省略してもかまいません。

(3)アンケートをとる

改善を目的として、実施後に参加者にはアンケートをとりましょう。ワークショップ自体の総合的な満足度のほか、作成時間がちょうどよかったのか、長かったのか、短かったのか、TPチャート作成にどのような意義や課題を感じたか、何を得たか、などの項目があるとよいでしょう。 参加者が一様に「短い」と感じているのであれば、次回以降それを根拠にもう少し長めの時間をとれるようになるかも知れません。

(4)関心を持ってくれた人を見つけ、コミュニティをつくる

上記アンケート結果あるいはワークショップ終了後の声がけなどにより、TPチャートを継続的に進めるコミュニティをつくっていくと良いでしょう。 TPチャートのワークショップには、冒頭で説明したように「見直し」のセッションもあります。また、授業改善に具体的に結びつけていくには、実際の授業案についての検討も含めた集まりも有効です。TPチャートは一度作成し完成したら終わりというタイプのものではなく、継続的な振り返りに役立つツールです。そうした、役立て方をしていただけると幸いです。