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【資料更新】TPチャート作成WSによくあるQ&A ver.2

過去に開催されたTPチャート作成ワークショップにおいて、Sli.doというオンラインの質問システムを用いて参加者の質問に対し、回答を整理したものです。< 校内研修あるいは自分でTPチャートをつくるときに疑問に思うことにお役立てください。今後も適宜追加していきます。 この度、2024年のサイト移行に伴い、更新をしていますが、一部リンクが反映できていないところがございます。ご了承下さい。
東京大学 栗田佳代子
更新履歴 2018.09.16, 2019.08.18, 2024.02.28
 

【TP作成WS関連】

Q (この質問実施時の研修は「作成のみ」で時間も短いものでした)本格的なワークショップの開催予定はありますか?

A 年に4回ほど、東京大学にて実施しております。asagaoメーリングリスト(2024年時点では廃止)、tulipメーリングリストに情報が流れます。また、facebook グループがありますので、そちらをご確認いただければ情報の確認ができます。 https://www.facebook.com/groups/TP2007/

 

Q 今回(この質問がでた研修では「作成のみ」でした)は2時間15分で時間が少ないとのことですが、本来、この活動はどれくらい時間をかけることを想定していますか?

A 見直しの時間も含めて、4時間を想定しますが、振り返りの意義を知っていただくという点では、短い時間でも意義はあるかと思っております。

 

Q 親しい人同士で無い方が良い、とのことですが、同じ職場内で活用できるのでしょうか?

A 今回はこのような異なる学校の方が話す貴重な機会なので、そのようなアナウンスをしております。お互いを知らないほうが、「あうん」で話が進まず、丁寧に説明する必要が出てきて、その説明を通して振り返りが深まるためです。同じ職場内で実施される際は、まず仲が良い人同士で作って、議論するのも良いかと思いますし、多くの教員で作成される場合は、専門分野、教歴、職位などができるだけ異なる背景を持つ人同士でペアを組むことで振り返りが深まるかと思います。

 

Q 校種が違うペアにした理由はなんですか。

A 同じ背景を持った方だと、阿吽でわかってしまうところがありますが、そうでない方同士のほうが、前提条件も含めて話すため、当たり前のようにやっていることについても気付くことができ、振り返りが深まる場合が多いためです。

 

これはかならず2人1組でやるものですか? 3人でもできますか?

A 3人で実施すると時間がかかってしまうためペアワークにしましたが、3人でも実施可能です。

 

Q それぞれの項目に取り組む時間をもう少しとれませんか。

A 1人で取り組むと行き詰まりやすいため、個人ワークは短めに、ペアでのワークに時間をかける予定です。

 

Q pdf資料をダウンロードして利用する際、著作権上の留意点(出典の明示、改変の禁止等)にはどのようなものがありますか?

A 出典の明記、改変の禁止でお願いしたく存じます。下記のサイト「お願い」のところに十分ではないですが利用について記述がございますので、そちらをご参照ください https://goo.gl/KjVbby

 

Q TPチャート作成を電子データで出来ると、保存や共有をしやすく更に便利になると思います。専用アプリの作成など予定はありますか?もしくはそれに準ずるものは既に存在しますか?

A 現在 PowerPoint や KeyNote のファイルを作成しており、それを用いて電子的に作成していただける環境もあわせて提供予定です。PowerPoint版についてはこちらをダウンロードしてご利用ください。 

 

Q 質問するのはsli.doを使い電子的ですが、TPチャートを作成するのは付箋を使った原始的なやり方なのはなぜですか?

A PC などでご作成いただく環境も準備しておりますが、対面で作成していただくときは、基本的に原始的な方法を用いています。シートとふせんだと作成者に準備物が少なく誰でも簡単に作れ、共有もしやすい点が大きな利点だと考えております。

 

Q タイマーのソフトは何をお使いですか?

A Orzeszek Timer というものです。現在更新が終了してしまったのですが、新たに Hourglassというものが開発されているようです。https://chris.dziemborowicz.com/apps/hourglass/

 

【TPの用語】

Q 「ポートフォリオ」と「ドキュメンステーション」の違いを教えてください。

A 「ポートフォリオ」はその方の活動に関する一連の書類であり、「ドキュメンテーション」は1つの文書という意味なので、「ポートフォリオ」は書類の集積、「ドキュメンテーション」は1つの書類という点で異なります。

 

Q 教育業績評価とは、教員の業績評価ということですか?

A はい、教員の教育業績評価ということです。欧米では、就職時、昇進時などに評価資料として添付することがあります。ここで、TP は業績評価資料という側面だけでなく、教育の振り返り・改善にもつながることは念のため再度お伝えしておきます。

 

Q ルーブリックとは何ですか?

A ルーブリックとは、レポートやプレゼンテーションなどの評価しにくいものを評価するためのツールで、評価の観点と基準が記載されている表です。具体例は、以下のページなどにあります。https://www.tfu.ac.jp/fd/info/pdf/rubric.pdf

例えば、レポートのルーブリックであれば、「構成」「論理」といった評価観点と、どのような「構成」「論理」が良いのか、普通なのか、悪いのかが具体的に記述された基準が載った表です。

 

Q 自らの教育活動を振り返り、その記述を根拠資料(エビデンス)によって裏付けた厳選された記録とありますが、この場合のエビデンスとは何を指しますか?

A エビデンスとは科学における厳密な意味でのエビデンスではなく、教育活動を行った証拠のことを指します。例えば、授業を行ったということのエビデンスは授業案や時間割が挙げられます。

 

【TPチャート作成について】

Q 自分を振り返るのがとても苦手です。どうしたらうまくなりますか?

A TPチャートのように、具体的な行動を挙げて「なぜそれを行っているのか?」と、具体的なものから抽象的なものを見出すのはおすすめですし、他者との対話を通して見出してもらうという方法も有効です(そういった意味で今回簡単ですがペアワークを入れています)。

 

Q 私は自身が授業をするだけでなく、授業や学校の教育全体をマネジメントする仕事もしています。TPにはこのマネジメントの部分に関しても振り返り記述をしてもよいのでしょうか?

A 教育実践とマネジメントを同時並行的に振り返るのは難しいことが多いです。今回の振り返りの対象を最初に授業実践かマネジメントを絞り、マネジメントについて振り返るのであれば、それに関係する活動を中心に振り返りをしていただくと良いと思います。

 

Q 付箋一枚にひと項目だけでしょうか?

A はい、一枚にひと項目でお願いします。

 

Q 付箋を用いる意味はなんでしょうか?

A 付け替えが可能という点が大きいです。まずは「責任」にて活動を洗い出し、「方法」で用いられているものを書き出します。そして、それらを貼り替えることによって「方針」「理念」と整理していくため、貼り替えられる点が作成の上で重要です。

 

Q この活動はKJ法から派生した活動なのでしょうか? KJ法の参考URLを載せておきます http://ur0.work/NWn5

A 確かに KJ 法的な要素は入っていますが、TP チャートは TP から派生したものです。TP における振り返りを、TP 作成よりは短い時間で体験していただくために開発されました。

 

Q 図とかは入れられますか?

A TP チャート自体が図の性質を持っていますが、もし図を用いた方が整理しやすいということでしたら、是非図をお入れください。我々は振り返りやすい枠組みを提供いたしますが、重要なのはみなさまの振り返りが促されることなので、是非振り返りやすいようにカスタマイズしていただければ幸いです。

 

Q シートにとりくむ順は今やっている順ですか?

A お手元の発表資料にある通りの順番で実施しております。TPチャートに矢印が記載されている部分がありますが、基本的にはその流れに沿って実施しております。

 

Q 専門とは、教科になりますか? 生徒指導などでも良いのですか?

A 専門は基本的に教科を想定しています。もし、生徒指導について主に振り返りをされたいということであれば、生徒指導としていただいてもかまいません。

 

Q 小学校であれば専門は全教科になりますか? それとも力を入れているものになりますか?

A 基本的に全教科となってしまいますが、今回特に振り返りたいもの(特に力を入れているもの)を記載していただいてもかまいません。

 

Q 作成の目的はひとつだけですか?

A いくつでも結構です。

 

Q 最初に書いた、作成目的からズレてきていますが大丈夫でしょうか…

A はい、作りながら、こう使いたいという想いが明確になることもあるため、変更していただいても全く問題ございません。ズレてきた目的が、ご自身が望まないものであれば、再度修正していただくと良いかと思います。

 

Q 1年以内なら前年度の活動も入れたほうがよいですか。それとも今年度のものだけでしょうか。

A 前年度のものも入れていただければ幸いです。また、特に重要な教育活動であれば、さらに過去のものを取り入れていただいてもかまいません。

 

Q 目的から内容まで自由度が高すぎる気がします。テーマなどを絞って行うこともできるのでしょうか?

A 振り返る対象が広いということでしょうか。今回は、総括的な教育活動の振り返りを目的としているため、教育活動全般を扱っておりますが、振り返る対象を絞った実施も可能です。

 

Q 考えではなく、行いをかくのはなぜですか?

A TP チャートは具体的な行いから段々と抽象化していって、理念を見出していく流れとなっています。いきなり考えを書くと、ご自身が本当に大事にしていることよりも「べき論」での理念が出てくることが多いため、具体的な行いから書き出してもらう流れにしています。

 

Q 具体的な結果、方策から、自分が指導している際の理念を明確化する、と言った、本来理念から下に広がっていく教育目標を逆行する作業が、TPの目的なのでしょうか?

A 目的は、みなさまに教育活動を振り返っていただくことです。理念から考えると抽象的になりすぎてしまい、ご自身が大事にしていることが出てこないことが多いです そのため、まずご自身の理念を見出していただくために、ご自身の理念を反映している具体的な行動から書き出してもらい、それらを抽象化していただきます。 その浮かび上がってきた理念を元に、方針・方法が対応しているかを考え、うまく対応していない所があれば、さらに理念を修正したり、新たに目標を設けることで、振り返りを促していきます。 元々理念を明確に持っている方には、若干回り道になってしまうプロセスかもしれませんが、ボトムアップ的に考えて、その後トップダウン的に考えることにより、活動の整理や振り返りが促されると私達は考えております。

 

Q 具体的なものから抽象的なものへという流れになっていますが、この流れのよさは何だとお考えですか?

A 具体的な行動には、その方の理念が隠れています。いきなり抽象的に考えるよりも、そのような具体的なものをベースとして、抽象的な理念に迫る方が、スムーズに理念を見出すことができるところが、良い点だと思っています。

 

Q 具体的な教育実践から、それを抽象化していくことで、自分でも自覚できていない教育理念を明らかにするという理解でよろしいでしょうか。

A 仰るとおりです。意外と自分では気づかない理念があり、それが行動に隠れていて、行動をベースに振り返ることによって、その理念が見えてくる、という流れになります。

 

Q 「具体的にやっていること」から出発すると、「やりたいけど出来ていないこと」がすくえないなと感じます。理念にも直結すると思うので、どうにか入れられないでしょうか?(意志が弱いと言われればそれまでなのですが…?)

A やりたいけどできていないこと、は目標に入ってくるかと思うので、是非そちらにご記入ください。

 

Q ご自身が本当に大事にしていることよりも「べき論」での理念が出てくることが多いため、具体的な行いから書き出してもらう流れにしています。 ということは、教育現場では経験則に基づいた『べき論』が横行していますが、それに一石を投じるものと考えてよろしいでしょうか?

A「べき論」横行という現状は把握しておりませんでした。我々としては、ご自身の理念に気付いていただき、その理念をベースに教育実践を振り返っていただくことで、授業改善や新たな目標を持っていただくことを目指しています。

 

Q 理念と方針が似通っていてもよいのでしょうか。

A 方針を用いている理由が理念となるため、似通っている場合は、理念に書かれていることが方針か、方針に書かれていることが理念である可能性が高いです。理念に対して「なぜこの理念が大事?」と自問自答して、答えがでてこなければ理念である可能性が高いです。

例えば、生物の先生で理念に「基礎の定着」とあった場合、「なぜ?」と自問自答し、「生物の面白さを知るためには基礎の定着が必要だから」という答えが出てくれば、「生物の面白さを知る」という方が上位概念になるため、こちらが理念となります。

方針と理念の違いについては、今回実施できない「TPチャートの見直し」で扱うのですが、資料がございますので、そちらもご参考にしていただければ幸いです。

 

Q 方法の検討はできると思うのですが、理念は難しいのではないでしょうか

A 例えば、方法には現れているけれども理念に紐付けられていないものがあった場合、新たに理念が見出される可能性があります。そういった意味では、理念、方針、方法の対応について対話することにより、理念が深まったり見出されたりすることがあります。

 

Q 方法のグループに対して理念は一つですか?

A 複数の理念を実現する方法はあるため、1つでなくてもかまいません。

 

Q なぜりんごの形の付箋なのですか?(^^

A 黄・青のふせんを用いて記述する内容は、主に、公開してもそこまで問題ない公なもの(パブリックなもの)になりますが、個人エピソードは完全にプライベートなものになるため、明確に形を変えています。「りんご」と決めたのはフィーリングです。「和む」とのコメントをいただくこともあります。

 

Q エピソードは教員になってからのことでもいいのですか?

A それでよいです。理念をかたちづくるきっかけとなったできごと、出会いなどを思い出していただければ結構です。

 

Q「対応づけ」の時に、方針や方法を付け足してもよいのですか?

A 遅れてすみませんが、是非付け足してください。対応付けを確認する意味は、そのようなふせんの付け足しをすることによって、ご自身の中で整理していただくところにあります。

 

Q エビデンスのない自身の方針や理念は、実際のTPにおいては淘汰されるのですか?

A 方針や理念にはエビデンスはつけず、方針や責任につけます。また、エビデンスがないから淘汰されるということは全くございません。エビデンスを考えるのは「自身の教育活動の根拠資料を収集する」という観点を持っていただくものです。

 

Q 振り返りで新たに取り組みたいと思ったものは青を使うのですか?

A はい、そのとおりです。青は将来やりたいことを記述していただければ幸いです。

 

Q 教育理念をペラペラと公にするのは何かカッコ悪いと思いました。年配の先生が、 ぼそっと教育理念を語ってくれるのに憧れます。

A そのお考え自体が理念とも言えるかもしれませんね。教育理念を語るのがカッコ悪いと思われた理由などを考えていただくと、より考えが深まるかもしれません。

 

Q 自身の理念を掘り下げる時はしゃべることで書くより効果があったりするのですか?

A 書く方が掘り下げられる場合もありますが、話すことで掘り下げられる場合もあります。両者、相互に補完する関係とお考えいただければ幸いです。

 

Q 理念と方針の定義はありますか?

A 現在、研修では明確な定義を用いて説明していません。仰る通り両者の定義がある方が理解が進むため、今後は定義を提供していきたいと思います。基本的には、理念は、教育に対する基本的で根源的な考え方であり、方針は、理念を実現するための指針、と捉えていただければ幸いです。

 

Q 「理念」は、「こうありたい」「あってほしい」という願いの形でよろしいのでしょうか?

A はい、願いの形で問題ございません。というより、願いを書いていただければ幸いです。お堅いものではなく、ご自身の想いを書いていただければ幸いです。

 

Q 理念と方針に上手く分類できず、その中間に落ち着くようなものが出てきてしまいました。

A方針の中にも上位方針、下位方針などが出てくる場合もあります。そのため、中間に位置付くふせんがあっても問題ございません。

 

Q 理念に結び付かず、意味が無いのでこれからはやらないようにしたいが、上から言われていて止められないような方法等はどのようにとらえたら良いでしょうか。

A 可能ならばそれを行う目的を上司の方に聞いて、目的レベルで必要なのかどうかを検討すると生産的かもしれません。難しい場合は、省力化するなどの対応になってしまうかもしれません。

 

Q まじめにやったら人と共有するのにちょっと抵抗が出るものになってしまいました…

A 今回、あまりしがらみがない方同士でペアを作っていただいていると思うので、一期一会と思っていただき共有していただくのも手ですし、場合によっては一部隠して、別途親しい方とご共有いただいても良いかもしれません。

 

Q エビデンスがなかなか貼れませんでした。学力的な成長などならエビデンスを示せるかもしれませんが、児童生徒の内面的な成長に関するエビデンスには、どのようなものが考えられるのでしょうか。

A教員が行った態度評価を用いること、生徒同士の相互評価を取り入れることが考えられます。注意点は内面的な成長を適切な評価を用いることです。

 

Q 根拠を示すことは大切だけど根拠がなくてもやらなくてはいけないことはある。

A 根拠というと行動をするための理由と思われるかもしれませんが、ここでいうエビデンスは、やったことの証拠という意味で、過去にしたことに対して作るものです。

また、「根拠資料を示せないからその行動を起こさない」というように根拠を求めることが目的化してしまうとおっしゃるとおり、良い教育の実現においては本末転倒です。

一方では、「良い教育」が公正に評価されていくには根拠を意識する考え方も必要になります。

 

Q 短期目標はどうたてればよいのでしょうか。

A 立てた目標が実際にできたか、できなかったか、評価できるものを設定していただければ幸いです。

 

Q 目的達成を目指すためには、責任の部分から、目的に絞って書く必要があるのではないかと思いました。振り返りを目指すのであれば、今回のやり方でよいと思いますが、どうでしょうか?

A 教育改善、振り返り、業績の可視化などの目的であれば今回のやり方は合目的かと思っていますが、該当しない作成の目的があったということであれば、目的にしぼったそれ以降の活用の可能性があるかと思います。

 

Q 最後の目標のところが今までの思考とうまくリンクできませんでした。 特出してしまった感があります。

A 理念を振り返って今後できそうなこと、方法を見直して改善できそうなことを書き出していただければ、それが自然と目標となると思いますので、もう一度そのような観点で見直していただくと見えてくるものがあるかもしれません。

 

Q 一度作ってみてからこれもあったあれもあった…というのが度々出てきます。ぶれないようにするには追加はよした方がいいでしょうか。

A 追加しなくても十分理念などを考えられる場合は追加しなくても良いですが、振り返りに有効であれば追加していただいたほうが良いかと思います。

 

Q 書いているとすごく自分が良い先生に見えてしまいます。自分目線で書いているので、周りからそう思われているかは、わからないですよね。

A そうですね。そこで大事になってくるのは、理念に根ざした教育活動とその評価やエビデンスです。独りよがりではない、ということを示す方法として、評価やエビデンスを活用いただければ幸いです。

 

【TPチャートの活用】

Q校内研修で行う際の留意点があれば教えてください。

Aできるだけ専門や職位など異なる人とペアを作ること、ファシリテータが安心安全な場を作る努力をして、相手に遠慮せず素直に対話できる環境を作ることが重要です!

 

Q 日本ではTPは教育実践の実績評価としてよりも教育改善のツールとして用いられる方が多いとの説明でしたが、それには何か理由があるのでしょうか。単純にTPを普及させるにあたって教育改善のツールとした方が扱いやすいからでしょうか。

A 業績評価資料としての導入にあたっては、組織的な導入が必要となります。 一方、教育改善に関しては個人的な導入が可能で、導入のコストが低かったのが、教育改善を目的とした導入の方が普及した要因の1つかと考えられます。

 

Q TPチャート作成は、何年目(もしくはどの様な)教員に向いていますか?

A 教育活動を振り返りたい人、自分の理念を見出したい人、今後の活動方針を定めたい人、教育活動を改善する際の観点を見出したい人、自分の教育業績を列挙したい人、自分の活動を後世に残したい人などが向いています。そういった意味では、年数はあまり関係ありません。

 

Q TPチャートを初任者にやってもらうのは、難しいですか?

A 経験が全く無い場合は振り替える対象がないため、少々難しいですが、今後どういった教育活動をしたいのかを、主に青いふせんで書き出してもらうことによって、未来に向かうチャートをご作成いただくことはできます。

 

Q TPチャートは、どれくらいの周期で作るイメージなのでしょうか?

A イメージとしては、1年に1回作成していただくのが良いかと思いますが(1年先の目標を定めることが多く、その目標の達成・未達成をチェックすることができるため)、異動前後や昇進前後などの「節目」でご作成いただくのも振り返り、目標を定める点で良いかと思います。

 

Q PDCAサイクルなどでも振り返りの話がよく出てきますが、どのようなタイミングで検討の段階を取り入れるべきか知りたいです。また教育工学的な視点としてもADDIEモデルのようなデザインの定義や位置付けはありませんか?興味があるので是非教えてください。

A 振り返りのタイミングは基本的に振り返りたい時で良いですが、学期末、年度末など一区切りつく時期に振り返るのはおすすめです。振り返りのモデルとしては、コルトハーヘン先生の ALACT モデルは有名なので、そちらもご参照いただければと思います。

 

Q 実際に教育現場のどのような場面で導入されることを期待しますか?イメージでは自己評価シートなどとも重なりますが

A 場面としては、総括的に教育活動を振り返り、どのような理念で教育をしているかを見出し、今後の方向性を見出したいときです。時期としては、学期終わりや年度末など一区切りつく時期に作成するのが良い場合が多いです。

 

Q 構造的に今までの取組や自身の教育理念を振り返れることは有意義であると感じたが、これだけ時間をとって対話的にチャート作りを行うことは実際の教育現場では難しいと感じた。 さらに短時間で行おうとすると、効果が薄れてしまうのか?また、実際に教員が取り組んだことによる具体的な成果等があったら知りたい。

A 短くすることも可能です。例えば、作成は事前に行い、1時間対話の場を設けるという方法があります。具体的な成果に関しては、振り返ることによって、今までやってきたある活動が重要でないことに気付き、その活動をやめて他の意味ある活動に時間を割けるようになった事例があります。1年間の授業が自分の理念に合った形で提供できているかを見直すきっかけとなり、ご自身でカリキュラム改善を行った、といった事例もございます。取捨選択や改善の方針が明確になり、教育実践に前向きになる点は共通してでてくるメリットです。

 

Q 管理職レベルでの研修でこのチャート作りを導入されたことはありますか? 管理職の教育理念との違いにギャップを感じています。

A管理職の方々向けにも実施させていただいたことがあります。管理職としての理念を見出したい場合は、教育活動の部分を管理職としての活動と読みかえていただきました。例として、埼玉県において「骨太のリーダーを育成する高校生のための埼玉版リベラルアーツ事業」の連絡協議会にて2017年度に実施させていただきました。

 

Q 管理職となるとこのシートの更新が難しく、今の現状が変わってしまった場合はどのような例や方法がありますか?

A 管理職の場合、管理職としての活動を責任のところに挙げていただければ同様のフレームで振り返りできると考えております。そういった意味では新しくチャートを作り直すことになります。

 

Q 組織文化の変革が必要と感じることが多いです。教員一人一人の貢献意欲の向上を図り、新たな考えやシステムの導入が必要ですが、人事異動や制度的リーダーシップではそれが果たせてない気がします。TPの取り組みにより組織文化の変革に寄与した事例はありますか?

A まだ事例はありませんが、組織での活用も検討中です。例えば、学校の理念が十分共有されていないところで、まずは自身の理念を見出して、その理念と学校の理念のつながりをみつけることで、学校の理念の理解を深めるなどの取り組みが挙げられます。

 

Q 欧米では評価にも添付しているとのことですが、ポートフォリオを評価に使えると思いますか?今は真面目にやってますが、自分自身を脚色して書けば少し良いカッコできる気もします。生徒にもポートフォリオ作成が始まりますが、大学入試でもおそらく提出するだけで使われず疲労対効果がマイナスになると感じます。少し話題が外れますが。

A エビデンスの添付が、脚色ができないようにする仕掛けになっています。例えば、素晴らしい教育をしているように記述しても、授業評価が低いというエビデンスがあれば、その記述が嘘であることがわかります。

 

Q 振り返ることはとても大切だと思います。毎日振り返りたいところですが、勤務時間を過ぎても仕事が終わらない現状があります。 

A 現状をお伝えいただきありがとうございます。教育に関連する管理業務なども含めて、教員の仕事全体を振り返り、改善する機会の提供も重要であると感じました。ご指摘いただいた点も踏まえて改善していきたいと思います。

 

Q 仕事量のマネジメントにもTPチャートは有効なのですか?

A 現在、TP チャートは総量のマネジメントには対応しておりませんが、今後そのようなものも振り返られるようなものを開発するのも意義深いと感じました。ちなみに現在、大学教員が自身の活動全てを振り返るチャート(SAPチャート)はございます。

 

Q TPチャートはアレンジして他に応用することはできますか?例えば他業種の仕事の振り返りや部活指導、キャリア教育、進路指導に生かせるでしょうか?

A 基本的には活用可能だと考えておりますが、キャリア教育など、振り返りに加えて、キャリアに関する情報を獲得しないと検討できないものに関しては、別途プログラムの設計が必要です。

 

Q 簡易化して、児童に取り組ませることは可能だと思いますか?

A 目的によるかと思います。行動の背後に隠れる理念を見つけるのは適していると思います。例えば、将来の仕事を考えるというような、自分の適性と実際の仕事内容を理解していないと考えられないようなものであると、自身の振り返りだけでは充分でないので、不適切かもしれません。

 

Q TPチャートは小学生の振り返りでも使えますか?

A 目的によるかと思いました。行った活動を振り返って、なんで自分がそのような活動をしたのかを考えるのには利用可能かと思いますが、キャリア教育という意味で利用したい場合は少々注意が必要です。キャリア教育では、自分が何になりたいのかを考えるのと同時に、職として何があるのかを把握しておくことが重要です。そのため、自分の振り返りに加えて、職やキャリアに関する情報提供、また自身の理念と職業とのひもづけを考える時間が必要になるかと思います。

 

 

【Sli.do関連】

Q Sli.doとは何ですか。

A 学習者からの質問をオンラインで受け付けるシステムです(https://www.sli.do/)。教授者が質問(多肢選択、自由記述)をつくり学習者に回答をもとめることもできます。無料でアカウントを作ることができます(拡張機能の利用に関しては有料)。

 

Q sli.doの部屋は誰でも作成できますか?

A はい、アカウントをご作成いただければ誰でも作成可能です。

 

Q 授業や校内研修等で利用する場合、どうやって設定するのですか?

A slido でアカウントをご作成いただき、今回のように部屋をご作成いただければ利用することが可能です。

 

Q 何人ぐらい同時に閲覧できますか?(*´∀`)

A 1000名が制限ですが、有料アカウントを作成することで、5000名まで接続可能なようです。

 

Q 質問をする際に名乗ることを必須にすることはできますか?学校で使う場合は、匿名の場合規律がなくなってしまうと考えられますので。

A 有料アカウントだと必須にできます。また、有料になってしまいますが、投稿を全員に共有する前に検閲できるモデレーションの機能を利用するのも1つの方法ですし、利用しないという判断もあるかと思います。

 

Q 投稿後に削除することはできるのですか?

A 投稿者は削除できない仕様になっているようです。もし削除してほしいものがあった場合は、ご指摘いただければ管理者が削除致します。

 

Q投稿内容はどれくらいの期間、保存されますか?

A 管理者の方が設定できます。また、管理者は基本的に部屋を閉じた後もデータを確認できます。

 

Q 投稿は文字だけですか?

A はい、投稿は文字のみのようです。

 

Q この質問システム(Sli.do)と通常の質疑応答だとどの程度質問数に差がありますか?

A この質問システムを用いてテキストで入力していただくほうが、質問数が多くなる傾向があります。実際に、本学の大人数授業で活用された先生は、想像以上に本質的な質問が得られて、とても充実した授業になったと仰っていました。

 

Q Sli.doの返事もスマホから見るのですか?

A はい、このような形で、質問に対する回答を記載していく予定です。(Sli.doは通常、質問を受け付けるだけのシステムですが、研修においては質問に対する回答であることがわかるように投稿する形で掲載しています。)

 

Q このシステムを活用するためには、今回のように研修のファシリテーターと質問回答者という2人一組が理想でしょうか。

A 今回は大人数で、多くの質問が出てくるため、担当が必要だと判断しました。授業で使う場合は1人で利用し、授業の合間に口頭で回答する形になります。参加者からの質問への「いいね」機能もあるため、多くの人が興味を持っている質問に対して優先的に回答できるところが良いところです。

 

Q質問できるとは素晴らしいサービスです。 校内研修でも使っている学校も多いのでしょうか?

A 本学では授業で利用される先生も増えてきております。校内研修で利用されているかはすみませんが情報ございません。私達が大規模なワークショップをする場合は、多く利用しています。

 

Q 学校現場ではどのような方法で使用例がありますか?

A 例えば、物理の先生は、Slido の部屋を用意して、板書の合間に質問を確認して回答されていました。その詳細などはニュースレターにございますので、そちらもご覧いただければ幸いです。http://ur0.work/Tyid http://ur0.work/IZwH