はじめに
少しファシリテーションについて考え、まとめようと思い、TPチャートにのせる形で振り返ってみました。ファシリテーションのこと(1)では、このチャートをつくるところで力尽きたので、今回は、できるところまで自分のファシリテーションについて、TP風に振り返っていきます。
責任
通常、TPにおける責任とは自分の教育の範囲、ということで自分の教育活動を挙げるところです。今回の場合、TPチャートのファシリテーションに関わる活動を挙げました。
1年間に区切りましたが、TPチャートの関連研修は、大学でのFD研修や、都道府県の教育委員会、各地の有志勉強会および独自開催のものを含めて14件行っています。また、チャートではなく、3日間のTP作成ワークショップもこの1年は2回、メンター兼スーパーバイザーとして参加しました。TPチャートに関連する研究活動としては、学会発表が1件です。また、オンラインによる発信として、kayokokurita.info、ティーチング・ポートフォリオ・ネットというウェブサイトと、Facebookグループの管理を行っています。
それから、チャートには書かれてないですが、この3月まで1年間「看護教育」という雑誌に「ティーチング・ポートフォリオ作成講座」という連載の文章を毎月書かせていただいております。この執筆の過程では、自分のメンタリングを全部録音して文字起こししており、この経験は自分のメンターとしての振る舞いを客観視するきっかけとなっていて、後でふれることになるかなと思います。
その他にファシリテーションの質に関連すると思われる活動
「TPチャートのファシリテーションに関わる活動」ではないものの、多大な影響をおよぼしている活動があります。もしも「ファシリテーション・ポートフォリオ・チャート」というものをつくるとしたら、「影響を及ぼしている活動」という枠があっても良いかも知れません。
私の場合それらは下記になります。
- 東京大学フューチャーファカルティプログラム:「教えることを学ぶ」大学院生および教職員を対象にしたプログラムです。25人1クラスを年4回開講しています。修士課程から特任教授まで様々な方を受講者に迎えます。休憩をはさみますが1回3時間半の授業で、この授業自体が受講者に主体的に学んでもらうことを目指してデザインし、実施しています。
- インタラクティブ・ティーチング・アカデミー:オンライン講座「インタラクティブ・ティーチング」の動画を事前予習課題として、クラスデザイン、アクティブ・ラーニング、評価、模擬授業などの実践的な内容を対面講座で行う研修です。これをチーム・ティーチングの形式で担当しています。
- 子育て:もう末娘が中1となりましたが、3人いる子育て期のうち、特に小学生までの時期は、こどもの気持ちを理解することや信頼すること、こちらが伝えたいことを伝えること、モチベーションを喚起すること、手放すことなどをかなり学んだと思います。
改善・努力
ファシリテーションについて改善といえば、ファシリテーション(1)のADDIEモデルにおける「E:Evaluation評価」として、毎回研修終了後に振り返りを行います。TPチャートの研修は吉田塁さんと行うことが多いので、説明がまどろこしかったところ、不足だったところ、質疑に対する応答が的確でなかったところ、などのフィードバックをもらいます。これをかなり反復しているため、特にワークの指示については「端的に」できるようになってきたように思います。大変ありがたい存在です。また、大抵の研修では受講者アンケートをとっていて、評定尺度をまとめ、自由記述に目を通すことで、内容の修正や、スライドの改変、時間配分など次回に活かしています。
また、当日の進行表をエクセルで用意していますが、それを研修中にリアルタイムで変更し、進行管理を行っています。この実際の進行表には、そのときに気づいたことなどもメモとして書き留めてあり、次回以降の修正に反映します。
付箋にはないですが、かつて「インタラクティブ・ティーチング」の動画収録に先立ち、ボイストレーニングに2ヶ月ほど通いました。通い始め当初は、子音がほぼ全滅で、通った成果としても向上したかどうかは定かではありません。
*もともと挙げた「TP研究会のたちあげ」は該当しないなと思ったので、言及していません。
成果・評価
ファシリテーションについて考えるためには、この枠は自分のファシリテーションがどのように成果を生み、評価を受けているか、ということを挙げるのがよいかもしれません。
具体的には、ファシリテーションについて直接言われた感想やコメントなどを挙げるほうが、この先のリフレクションには有益な気がします。
ということで、考え直して、自分のファシリテーションについて言われたことのあるお言葉をあげます。
- なぜか安心して自己開示できた
- 声のトーンが良い
- ゆっくりとした運び
- 気配が消えて、集中できた
チャートの変更
以上をふまえ、チャートのふせんとチャート自体の変更をしました。
ふせんは貼り替え。
チャートは、スライドマスターにて下記のとおり変更しました。
- 「責任」を「直接関係する活動」「影響を及ぼした活動」に
- 「成果・評価」を「他者からの感想・コメント」に
- それぞれの枠の隅に小さくその枠の名称を表記(これは、研修のコメントで付箋貼ると見えなくなる、というものがあったからそれを今反映。)
今回はここまでです。
このチャートを試してみたい方は「こちら」からどうぞ。ただし、今後も変化していく可能性が多分にあります点ご了承ください。